私は、現在「不登校・引きこもり、ニート及び発達障害児・者」の子を対象にした生活・自立支援の寮を運営しています。 「子」と言っても下は16歳から上は34歳まで、実に様々な年代、そして様々な理由を抱えた人達が生活しています。発達障害を抱えた子、精神疾患を抱えた子、いじめに遭った子、将来に希望が持てない子など誰一人として同じ子は居ません。しかし、にも拘らず「専門家」の意見はあまりにも画一的で、似通った意見が多い。それは、「ひたすら待つこと」です。 私は引きこもりの子と24時間共に生活をしています。だからこそ、この「専門家」の意見には疑問を抱いてしまいます。 ここで私の体験に基づいて「疑問」の理由を書いていきたいと思います。 ●その1、「待つこと」によって状況は変わるのか●まずは以下の事例を読んでいただきましょう。事例1:10代の女の子 中学2年生のときに不登校になり、その後リストカットを繰り返す。摂食障害も伴い、家庭内暴力が徐々に出始める。しかし、約半年寮生活を続け、現在は高校に休まず通っている。 事例2:20代の男性 大学受験を失敗したことがきっかけで、引きこもる。完全に昼夜逆転の生活を始め、インターネットやゲームに溺れ始める。この生活を3年以上続けた後、お母さんは精神科の先生から「なるべく本人を刺激しないように、言うことを聞いてあげて下さい」と言われ、なるべく本人の意思に従い行動をする。すると、だんだん行動はエスカレートし、物に当たり、壁に穴を開けたりするようになる。最後には「家にある金を全部出せ。遊び回ってやる」と言い出すようになり、困り果てた両親が相談に来る。 事例3:40代女性 短大卒業と同時に引きこもる。こうなったのは親のせいだ、とマンションを買わせそこに閉じこもる。そのマンションでも非常ベルなどを鳴らし、近隣に多大な迷惑をかけながら、20年以上外出をしない。現在も引きこもり中。 これらの事例が示していることは、2つあります。 @時間をかければかけるほど、また年齢が高くなればなるほど社会復帰や自立が難しくなってしまう。(国の就職支援政策は34歳までを主な対象としています!!)Aいつ何時自分の力で生きていかなくてはならない状態になってしまうかわからない。(当然子供よりも先に親はいなくなるからです。)ということです。 私の元へ来る子どもたちは、年齢問わず包丁の使い方もおろか、洗濯機の回し方すら知らない子がほとんどです。そんな知識も経験もない子が突然一人で生きていかなくてはならなくなってしまったら・・・。 確かに、中にはそっとしておけばそのうち自然に元の生活に戻っていく子もいます。しかしそっとしておくだけで全ての子が元の生活に戻れるのならば、そもそも引きこもりという現象自体もそれ程問題にはならなかったはずです。 ■では、なぜここまで社会問題になったのか?それは、当事者以外の人たちがあまりにも何もしてこなかったからです。引きこもってしまった本人やその家族がどれほど悩み、苦しんでいても周りの人間や専門家は「そっとしておいたほうが良い」と薬を出すだけ。このような状況では、どれだけ当事者が悩んでいても、どうしてよいかわからず、気づいたら10年たっていた、という話も珍しくありません。こうなる前に、早期発見(自覚)!早期対応が大切なのです!■早期発見(自覚)!早期対応そのためには・・・「引きこもり」には実に様々な状態の子がいます。部屋に引きこもって出てこないだけではなく、必ずいくつかの「サイン」を発しています。しかし、この「サイン」を見逃し、何も対応をしていないと、多くの場合精神障害を引き起こします。その病態は百人百様といえますが、対人緊張、対人不信、対人恐怖などについてはほぼ共通してみられる症状です。ここで、具体的な「サイン」を示しておきます。以下の「サイン」が見られたら、早急に対応すべきだと思います。 ●その2、「待つこと」によって独りで抱え込みがちになってしまう●「ひたすら待つこと」を実践しようとする親御さんほど、その悩みやストレスを抱え込み、体調を崩してしまいがちです。それどころか、心まで病んでしまうことさえあります。■なぜ寮という形態なのかでは、私たちがなぜ「寮」という形態をとっているのか。それは、一度親と子が離れて暮らすことによって、お互いに冷静かつ客観的に今までとこれからを考えることが出来るからです。引きこもりや不登校の子供を抱える親御さんは皆余裕をなくしています。しかし、それは仕方がないことです。周りの子供が学校に行っているときに自分の子供が部屋に閉じこもっていれば、普通の親ならあせります。こんな時にゆとりを持って冷静に、世間体も気にせず見守ることはそうそう出来るものではありません。そして、親御さんが余裕をなくしてしまうと、夫婦関係がギクシャクしてしまいます。さらにそれを子供は敏感に察知して、プレッシャーに感じてしまい、家庭内全てがギクシャクしてしまうのです。そうなってしまう前に、 本人のためにも、ご家族の為にも、一度離れて暮らす!そうすれば、今まで見えてこなかったことが沢山見えてきます。そこに気づくことから私たちのカウンセリングが始まるのです。事例1:27歳男性 家庭内暴力がひどく、常に親に対して高圧的な態度。しかし、実家を離れ、寮から働きに行くうちに労働や炊事洗濯などの大変さを身をもって知り、両親に自ら謝罪した。現在は一人暮らし中。 事例2:先ほどの事例でも紹介したリストカットの少女。自分の体を傷つけることがどれほど親を悲しませるかを悟り、ぴたりと止める。親も、自分がどれ程我が子を追い詰めていたかを悟り、常に話し合いが出来る家庭を作る、という目標を立てる。 以上のことからも分かるように、親子が互いに苦しみの只中にいるときは、どうしても全てが空回りし、悪循環になってしまいます。だからこそ、お互い距離を取ってみるのです。しかし、この方法が常に最善の方法だとは思っていません。だからこそ、通所型のカウンセリングルームもありますし、訪問カウンセリングもやっています。よく、「本人主体のカウンセリングを」と言われます。確かにその通りなのですが、現実はそんなに理想通りには行きません。本人に直接関わっているご家族の精神的な問題、金銭的な問題も決して無視できません。本人だけではなく、ご家族全体のもっと包括的な視点で、我々は関わっていきたいと思うのです。 ■人前に出るのを避けたい!←社会不安障害(SAD)大勢の人の前で話をしたり、初対面の人と会う時、誰でも緊張します。しかし、その緊張が異常なほどひどく、耐え難いものだとしたら? そのせいで、学校や会社を休んでしまう日が続いてしまう。 これは、社会不安障害(SAD)と言われる病気が考えられます。 例えば・・・ 「他人の見ている前で字を書くとき」「電話をするとき」 「目上の人に紹介されたり、話したりするとき」「大勢の人と食事をするとき」 このような時に、頬が赤くなったり、汗をかいたり、震え・動悸が激しくなったり、下痢や腹痛になるといった症状が表れることはありませんか? そして、このような症状が「また起こるのではないか?」といった不安を引き起こし、人が集まる場面を避けるようになります。 その結果、学業や就業、さらには結婚などの社会生活に大きな問題を抱えてしまうことになるのです。また、厄介なことにこの病気は、うつ病、アルコール依存、パニック障害やその他の精神疾患を引き起こす原因になりかねないことです。 この病気にかかっている人のほとんどが、実は中学生ごろに発症を訴えています。しかし、多くの場合「引っ込み思案」「内気」などと言われ、性格の問題として我慢をさせられています。そのような人が社会に出、人前で何かをする機会が増えることにより、問題が表面化しているのが現状です。 人前での過剰な緊張は、思春期ならではの悩みと片付けてしまうと、その後の社会生活に暗い影を落とすことになってしまいます。 なるべく早い段階でのご相談をお勧めします。 「バウム」とは、ドイツ語で「木」のことです。私はこのカウンセリングルームを一本の木のような場所にしたいと思っています。 ■なぜ「木」なのか?「木」には沢山の生き物が集まってきます。鳥や昆虫、微生物など本当に多くの命が、たった一本の木の下に集まってくるのです。その多くの命は「木」の恵みを目当てに集まってきます。そして、「木」もまたその多くの命に支えられ育っていきます。時々「木」に集まってくる命の中には、「木」にとって害になることしかしないものも居ます。けれど、「木」は全てを包み込んでそこに立っているのです。私は、このバウム カウンセリングルームをそんな「木」のような存在にしたいと考えています。 そして願わくば、このバウム カウンセリングルームは、 「多くの命がみんな幸せになりたくて集まってくる、そんな「木」に・・・」なれたらいいと思います。
■笹谷 寛道(日本心理療法士協会認定 TA心理カウンセラー)「中国語で書くと危機という言葉は二つの意味の言葉から出来ている。
この言葉は、有名なアメリカ合衆国35代大統領ジョン・F・ケネディーのものです。 |
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